印章の文化史 蔵書印とは Ⅲ ~蔵書印の印文と印材~ 蔵書印の印文は、所有者の名前や号の後に「蔵書」「蔵」「文庫」「図書」「之印」などの語句を加えることが多いようです。 蔵書印に印材には様々なものが用いられており、鉄・銅・金・銀などの金属系のもの、翡翠などの貴石類、石、陶器、木、竹など、現在の印章には通常用いられないような印材も見られます。現在では、木、角などに加えゴム印も広く用いられています。 画像は弊社で作製し使用している... 回転印 蔵書印 文庫印
印章の文化史 蔵書印とは Ⅱ ~蔵書印の歴史(その2 日本での蔵書印)~ 日本での蔵書印の広まりは、中世以降、中国からの書物の輸入の拡大に関係していると考えられていますが、いつどのようにして伝わったかは定かではありません。 日本最古のものとされる蔵書印は、奈良時代(648年~781年)の聖武天皇の「松宮内印」、光明皇后の「積善藤家」「内家私印」です。 そして蔵書印は、江戸時代中期(1681年~1780年)頃までは寺社や公家、貴... 蔵書印 文庫印
印章の文化史 蔵書印とは Ⅰ ~ はじめに ~ 蔵書印とは、書籍の所蔵者を明らかにするために書籍に押した印を意味します。 普段、私たちがよく目にするものは図書館や資料室などの蔵書印で、日付と所蔵団体名が分かりやすくはっきり入ったものだと思います。 それらとは異なり、普段滅多に出会うことのない個人所蔵の蔵書印もあります。 個人所蔵印の場合、個人の趣味が色濃く反映され、形や字体、イラスト等様々なものが存在し、所蔵者の書籍に対する愛... 蔵書印 所蔵印
印章の文化史 印章の起源Ⅶ(日本における印章の歴史 NO.2) 鎌倉時代に入ると、禅宗の興隆とともに中国から来た禅僧により、宋・元の文人印がもたらされ、僧侶間で印章が盛んに使用されます。 そして僧侶間に流行した印章は、南北朝時代あたりから花押の代わりとして用いられるようになり、それが戦国武将たちにも模倣されるところとなりました。 武家文書の中で印章を用いた文書は印判状と呼ばれるようになり、再び印章の使用が盛んになります。 しだいに将軍や諸侯などの表向きの印は別... 印鑑登録 私印 文人印
印章の文化史 印章の起源Ⅵ(日本における印章の歴史 NO.1) 日本においての印章の歴史はどのようなものだったのでしょうか? 中国の漢時代に光武帝より「漢委(倭)奴国王」と陰刻された金印が贈られたのが西暦57年。それから644年後の701年に、大宝律令が制定され、その律令の中には官印、公印を定める印章制度がありました。それは中国の隋や唐に倣ったものです。中国では、2世紀後半には上質な紙と朱肉の発明により、印章の需要が急速に広まっていました。 奈良時代後半になる... 官印 私印
印章の文化史 印章の起源Ⅴ(ヨーロッパにおける印章の歴史 NO.3) 印章の使用は第一次大戦後に少なくなり、現在ではほとんど用いられなくなりました。 それは郵便制度が発達し、糊つきの封筒により信書の秘密性を十分に保てるようになったことや、教育の普及により識字率が上がったことによると考えられています。 ヨーロッパで自筆によるサインが用いられるようになったのは、ルネサンス時代(15世紀頃)からといわれています。署名を表す「sign」の語源は印章を意味するラテン語の「si...
印章の文化史 印章の起源Ⅳ(ヨーロッパにおける印章の歴史 NO.2) ローマ帝国崩壊後、印章を使う習慣は一時途絶えます。 11世紀末、カトリック教会諸国によって、聖地エルサレムをイスラム教諸国から奪還する目的で派遣された十字軍の兵士たちは、東ローマ帝国時代の寺院から、彫刻の施された貴石を略奪し本国に持ち帰りました。これらの貴石は始め、指輪・ペンダントなど装身具として使用され、印章としては使用されませんでしたが、その後の中世ヨーロッパにおいて王侯貴族がそれらの貴石を指... 封蝋 指輪型印章